モテる男の行動習慣

【5】 相手の目を見て、しっかり話す

 マスタングの長所の一つに、人と話すときの視線の位置がある。
 マスタングはどんな時でも、人の目を見て話すように心掛けている。それは好意的な場合だけでなく相手に敵意を持っている場合でも変わらないので、それが逆に挑戦的とも威圧的とも取られる場合もあるが、基本的にこれは好感度を上げる要因の一つとなっている。
 例えば、部下の話を聞くとき。上の役職についた途端に下士官や一平卒の話をまともに聞かなくなる輩の少なくない軍において、マスタングのようなタイプは部下たちに非常に好かれる。年長者に対しても、まっすぐで未来へ迷わず挑んでいくような目には、好感を覚える者も多い。
 もちろん女性に対しても、これは好感度の上がるポイントになる。常に柔らかな視線を向けるように心掛ければ、相手は信頼を寄せてくれること間違いない。刺激を求めるような相手には、挑戦的な視線も効果的である。彼の持つ漆黒の瞳は、まるで相手に吸い込まれそうだと錯覚させるような、そんな力を持っている。彼に見つめられたが最後、他言無用の情報をもさらりと口にしてしまう女性も少なくない。

 つまりマスタングは、己の視線の力を理解し、それを巧みに使い分けているのである。

 だから、彼があえて視線をそらす時は、何かしら後ろめたいものがある時なのだ。例えば、朝からほとんど書類に手をつけていない時。仕掛けた悪戯で周りに叱られた時。出てきちゃダメですよと言われている現場に出てきてしまった時。彼が必死に視線を逸らそうとしたときは、本心から話題に触れられたくない時であり、大抵ロクでもない事態に陥っていたりするのである。
 そんなマスタングの視線を逸らす行為は、滅多にお目にかかることはできない。マスタングにとって視線を逸らすという行為は、信頼できる相手にしか見せない行為であり、つまり視線を逸らされたということは彼に信頼されている証しなのである。


(2012.5.30)



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